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映画 ツレがうつになりまして。 本誌今号の特集は「メンタルヘルス 心のケア」です。そんなこともあって、今年の映画鑑賞25作品目は、「ツレがうつになりまして。」となりました。 職場に蔓延しているメンタルヘルス。うつ病にかかってしまっている職場の仲間も多い。誰でもが、かかる恐れのある「心の風邪」のようなものといわれる。ほんのちょっとの違いが病気と健康を分けているだけで、特別な病気ではないという。そうした病にかかってしまった人たちに対する対応は、極めて重要だ。この映画で改めて、認識することとなった。 (映画「ツレがうつになりまして」) 主役の夫婦役は、NHK大河ドラマ「篤姫」でも夫婦役を演じた堺雅人と宮崎あおいだけに息はバッチリでした。暗くなりがちな「うつ病」という、テーマを明るくさわやかに演じています。うつ病をテーマとしているものの、家族愛、夫婦愛を改めて認識させてくれた映画である。ほんわかハッピーでホロッと泣けてしまうラブストーリーである。 結婚5年目のある日、突然うつ病になってしまった夫・幹男(ツレ・堺雅人)に「会社を辞めないなら離婚する」と迫る晴子(ハル・宮崎あおい)のお話し。 物語はそんな2人の日常生活を描き出している。面白いのは病気の話なのに、想像していたよりもユーモラスでほのぼのとした作品になっているところだろうか。これはハルが売れないとはいえ漫画家で、ツレがうつ病になってからの毎日を一コマ漫画風に見せてくれること、そしてハルの性格がポジティブで明るいことによるのだろうか。 そもそも「うつ病」とはどういう病なのだろうか。小生も含めて多くの人はそれに対する答えを持ち合わせていないのではないだろうか。 実はツレを演じている堺雅人もその答えがわからないまま演じていたと記者会見で語っている。彼はそれを「(病気も)人それぞれだということなので。」と言っている。 この作品のツレという人物は非常に几帳面で段取りを大切にする人間。自由業そのものである漫画家で、アバウトなハルと違い、炊事、洗濯、掃除と家事全般もこなしてしまう。 パソコンのサービスエンジニアで、電話による苦情や相談の受け応えを業務としており、執拗に対応を求めるクレーマーなどに心労が絶えない。几帳面さ故に何かの拍子で心のバランスが崩れた時に自分ひとりでは修復が出来なくなってしまうのである。 映画ではうつ病は「心の風邪」で誰でもかかる可能性があるのだと言っているのだが、そういう意味で堺雅人は自分の中にあるうつ病の素のようなモノを上手く見つけ出してツレを演じていたのだろうと思う。 「頑張らなくていい」とはわかっていても、会社を辞めてずっと家にいるツレの姿には、嫌悪感を思わざるを得なかった。この映画を観ただけで、その病を患ってしまった人の気持ちがわかるなどとは言えない。ツレを観ていると「そういう思考や行動がまちがいなのではないか」と思ってしまい、共感することが出来なかった。 むしろハルが「頑張らなくていいよ」と一貫して対応していたことに、その努力に敬意を感ずる。もちろんだからと言ってハルの苦労をほんとうに理解し得たとは言えない。 彼女が描く一コマ漫画の日記はとてもユニークで、同時に彼女の正直な気持ちを表していた。ハルは漫画で自らの思いとツレの行動を日々日記に綴ることで、成長していく。 ツレの問いかけに対して仕事でテンパッテいたハルが、素っ気なく冷たい返答をしたために、「自分なんて生きている意味が無い」と自己嫌悪に陥った結果、自殺未遂をしてしまう。 その日の日記では、彼女自身のイラストが「ごめんね」の文字で埋まっている。彼女もまた酷く自己嫌悪に陥ってしまう。 要するにうつ病であろうがなかろうが、気持ちの持ち方、捉え方は同じことなのだろう。ほんのちょっとの違いが病気と健康を分けているだけなのかもしれない。 同じ教会で結婚式場を挙げた夫婦の同窓会の席、ハルは結婚式の時に神父が言うセリフ「その健やかなるときも、病めるときも・・・」を引用して、ツレのうつ病について語るのだが、そのときの彼女の素晴らしく素敵な表情が、見ている者に強い感情を与える。 この作品はうつ病がテーマなのではなくて、夫婦が共に人生を歩むということの真実をテーマにしていたのだと気づかされる。長い人生の中ではうつ病に限らず、お互いいくらでも「健やかなるときも、また病めるときも」あって当然なのだ。 この2人のような夫婦でありたいと感じさせられたすばらしい映画だった。 |
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